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香月日輪によるライトノベル妖怪アパートの幽雅な日常9巻を読みました。
最終巻である次巻に向けてのインターバルと伏線ぽい部分が多く、この巻単体では内容が薄いという印象でしたが後述する読み方をすると意外と深いと感じる、文化祭と学校における裏サイトを描いた物語でした。
文化祭に興じる主人公夕士たちと、それに混じれず裏サイトに嫌がらせ書き込みをするクラスメイトの富樫を対照的に描いています。
妖怪アパートの幽雅な日常の見所の一つは、学校や家族というコミュニティになじめなくても、世の中には多様な価値観があり自立した社会人になれば居場所が見つけられるという描写なのですが、この巻では今やリア充集団となっている夕士たちになじめずにいる富樫をバッサリ切り捨てているのが印象的でした。
ここに来てコミュニティになじめない人にも色々あり、あわないと思った相手は距離をとったら良いんだよという、ある種責任を取っているのかなと思いました。
また逆にこの巻を富樫の立場から見るとかなり面白く、夕士たちリア充集団が騒いでいる内に、一度しか無い高校最後の文化祭を何も出来ずに終わったという現実を突きつけていて、あっという間に読める内容と相まってコミュニティになじめないことの現実を残酷に描いていると思いました。