アニメ「イヴの時間」を観ました

 吉浦康裕演出、原作、脚本、監督のアニメ「イヴの時間」を観ました。
未来を舞台にして人間型ロボットいわゆるアンドロイドが、人間のような感情を持っていたら?というところから描いた作品です。
 ただ、SF的なリアリティを追求するような作品ではなく、ましてや人間以外の存在を擬人化して執心することの問題を描いた作品、例えばアンドロイドに執心することとアニメなど二次元作品やキャラクターに執心することをリンクさせて、そのことに対してある種の答えを出すような作品ではなかったと思いました。
 もっとシンプルな、物にもしも人間と同じような感情があったら?そしてその感情が凄く優しいものだったら?そのことを自分だけが知ってしまったら?物を人と同じくらいに大切に出来ますか?というようなことが描かれていたように感じました。
 例えば昔から形見の品とか長年使い続けた品に対して、ある種の擬人化して大切に扱うという精神はあったのですが、それが大量消費の世の中になり非常に薄れてしまった。そういう感情を呼び覚まさせてくれたようで嬉しかったです。
 最初は見た目では人間と区別がつかないアンドロイドの心への共感を描き、徐々に人間から遠ざかった姿をしたアンドロイドへの共感を描いていき、最終回ではとても人には見えず言葉すらろくにしゃべれない「物体そのものじゃん」っていうアンドロイドをその姿のまま愛おしいと思えたこの演出は素晴らしいと思いました。