天鏡のアルデラミン、原作も面白いです

 2016年の7月からアニメ化された、ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミンに滅法はまって原作を読み始めているのですがこちらもとても面白いです。

ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン (電撃文庫)

 主人公イクタ・ソロークは後の世で常怠常勝の智将と呼ばれ、彼の「あらゆる英雄は過労で死ぬ」というセリフはアニメ版公式サイトにも使われていて、社畜などという言葉に象徴される若者の過労に対する嫌悪感をとても分かりやすく代弁してくれいるように感じて好きです。
 特に敵将校、ジャン・アルキネクスに対してイクタが言う「お前が24時間働き詰めなのは、理想の実現にそれが必要だからじゃない。他の誰かがその分怠けているからだ」とか「お前が間違った働き方をするもんだから、お前以外の全員が間違った怠け方をする」というセリフは、組織における過労の非効率な部分を分かりやすく主張していると感じました。
…ちなみに上記のシーンは、文字でじっくり読める原作の方がぐっときました。

 で、ここからは作品の感想でなく、ぼくが勝手に考えていることなのですが…
 確かに現実の世界でも、過労によって得られる成果の多くは誰かがその分怠けることで浪費されてしまうし、反対に過労が求められる状況の多くは誰かが怠けたことの帳尻あわせだったりします。
そして過労を自慢したり賞賛する風潮が、そういった不平等を助長させているという考えは一理あると感じます。
 加えてSNSなどを中心に、他人の過労によって怠けられている人間がその浪費っぷりや、怠けることの利口さを無神経に晒した結果、嫌悪感が明確になって来たのかなあと感じました。

 その辺を考えると若者が過労を嫌うのは、欲が無いのではなく不平等な状況に敏感だからなのかもなあと思います。