『新世紀エヴァンゲリオン』シリーズの生みの親である庵野秀明さんが、『シン・エヴァンゲリオン劇場版1周年生特番』の企画で、アニメ批評家・岡田斗司夫さんへの間接的な批判を繰り広げていたそうな。
『新世紀エヴァンゲリオン』庵野秀明氏、かつての”盟友”岡田斗司夫氏に間接的な批判か|ニフティニュース
それに対して、ジブリ公式Twitterも同意しておりました。
…こっちに関しては大いに笑ったのですが、もしかしたら笑えない状態なのかな?
【あっ】『シン・エヴァ』庵野秀明監督、岡田斗司夫さんの関係者風評論をほぼ名指しで「迷惑」と公言して全否定 → ジブリ公式も同意wwwww
具体的な内容は
岡田斗司夫さんの考察動画はこのブログでも度々取り上げており、驚くと同時に「何が批判の理由なのか?」とアレコレ調べていると、下記のTogetter(Twitterまとめ)を読んで、なんとなく納得しました。
「マリのモデルは安野モヨコさん?」「Q予告カットが本編になかったのは何故?」シンエヴァ1周年特番で庵野監督が質問に回答
また、岡田斗司夫さんとカラーの確執は、以前からあったようです。
『シン・エヴァ』場外乱闘で評価ガタ落ち? 岡田斗司夫を名指し批判して賛否 – まいじつエンタ
岡田斗司夫さんの返し
この件に関して、岡田斗司夫さんはYouTubeで、下記の様にリアクションしています。(8:38辺り)
「夫のSNSでの交友関係を監視してしまう」「人が誹謗中傷をしている姿が嫌」「エヴァ、ジブリ公式アカの”迷惑、と思います”」 岡田斗司夫ゼミ#432(2022.3.13)サイコパスの人生相談3月前編
個人的に思ったこと
まず、庵野秀明監督の「迷惑」という発言を受けて、シン・エヴァンゲリオンの感想記事などに岡田斗司夫さんの動画を引用していた身としては「迷惑だったのか」としょんぼりした気持になりました。
上記の岡田斗司夫さんの発言などを見ると気にしすぎかも知れませんが、ぼくはファンとして作品考察を楽しんでいたつもりだったので、オフィシャルに批判されるのはやっぱりしょんぼりです。
岡田斗司夫さんがジブリ作品の考察などにおいてオフィシャルの許可など取っておらず、あまり良くない関係であることは公言されてたので、まあそうだよなあって察してたつもりでしたが、つもりだった以上に迷惑だったのは、ひたすらにしょんぼりです。(あくまで、ぼくの気持ちの話です)
岡田斗司夫さんの作品解説は色々ありますが、その中でぼくが好きな解説は、
専門家・関係者として作り手と近い視点で語っている
アニメプロデューサー時代の経験や多くの人脈から、作り手側の常識や考え方の優先順位についての語りや対談など。
島本和彦先生との対談などは滅茶苦茶面白いです。
作り手の言いたい事をよりストレートに解説している
作り手がこれ以上語るのは野暮であると筆を止め、読者(視聴者)の自由な解釈に委ねた難解な作品を、野暮を承知で斬り込んだ解説など。
…高畑勲作品などは解説必須と考えてます。
ぼくが好む作品や制作者に対して高評価・友好的である
単純にぼくが好きだった作品や好きなクリエイターに対して、高評価し友好的に語っている。
逆に言うと、ぼくが嫌いだった作品を高評価・友好的に語られるのは好きでなく、最初に持った印象が語りによって変わるということはなかなか無いのだなあと感じます。
の三点に該当するものです。
シン・エヴァンゲリオンの解説は、関係者と近い視点から語っており、野暮を承知な斬り込みもあり、全体としては高評価・友好的だったので、善い物であろうと判断したのですが、関係者にとっては迷惑だったようです。
「いいひと戦略」に繋がる?
今回の件、岡田斗司夫さん自身の発言の影響も大きいですが、彼の発言に影響を受けたファンの発言や行動の影響も大きかったと想像しています。
そこから派生する問題に対して、岡田斗司夫さんが責任を求められるようになったのかなと。
例えば、ファンが岡田斗司夫さんの考察や解説を根拠に、シン・エヴァンゲリオンやジブリ作品やそれらの制作者に向けて、粗暴な発信を行っていたのかなと。 書籍などの言論であれば、考察や解説の発信者とそれによって影響を受けた人の行動の責任にはある程度の距離がありましたが、オンラインサロンなどでユーザーと情報発信者との距離が近くなると、サロンリーダーが粗暴な発信の旗頭となり(されてしまった?)責任も問われるようになったと、想像しています。
そう思うと、岡田斗司夫さんがYouTubeチャンネル会員数増加に対して悩まれていたり、「ホワイト社会」や「いいひと戦略」について語っていた理由を深読みしてしまいます。
コロナ戦争とホワイト革命 岡田斗司夫ゼミ#425(2022.1.9)
ホワイト社会を生き延びろ!”いいひと”戦略 徹底解説 岡田斗司夫ゼミ#428(2022.2.6)
「ホワイト社会」や「いいひと戦略」に関しては色々思うところがあるのですが、 岡田斗司夫さんが「いいひと戦略」を自らのファンに推奨する意図は、
責任者としてファンに対して注意を促した
外部への粗暴な言論に限らず、内輪向けの悪気はないけど客観視すると不適切なニュアンスが含まれている業界用語やコミュニケーションの見直しを推奨した。
戦略の善し悪しの議論をしつつも、指針の発表みたいな強い決意も感じます。
ファンに注意しているという第三者へのアピール
サロンオフィシャルの教えとして、いいひと戦略を外部にアピールし、サロンはいいひとを目指す場であると明言した。 それによって、一部の粗暴なファンの行動はサロンの方針とは異なると明言。
ファンの利益になる発明の発表
上記二つは世知辛い解釈ですが、岡田斗司夫さんは、純粋にこの考えが多くの人の利益になる!と無邪気にドヤ顔で丁寧に「みんなやってごらんよ」と語っており、実際それは機能するモノとぼくも感じました。 この辺が、彼の魅力?人たらし?なところかなと感じます。(褒めてます
いいひと戦略と評論家
ちなみに、「いいひと戦略」は、以前から注目されているコンプライアンス遵守など企業のイメージ戦略を、岡田斗司夫さんが個人に向けて整理したものと感じています。
庵野秀明さんやジブリの「いいひと戦略」は、恐らくトップレベルで、その結果作品で明確に表現出来ない点などもあったと思います。
以前はそこにいいひとであることを手放した岡田斗司夫さんなどの評論家が斬り込むという図式があったと思います。
しかし今は、評論家や個人の考察者にも「いいひと戦略」が求められており、今後どうなるか興味深いです。
などと深く考えると混乱してくるので、素直に作品を観るかなあ。 シン・エヴァンゲリオン劇場版