パブリック・エネミーズ観ました

 1933年の大恐慌時代アメリカの、大胆な手口で弱者からは奪わないという姿勢で、犯罪者でありながら大スターのような人気を得ていた実在のアウトロー、ジョン・デリンジャーを描いた作品、パブリック・エネミーズを観ました。
 伝説のように語られるダークヒーロー、ジョン・デリンジャーも、ジョニー・デップが演じるということ、またタイトルが「パブリック・エネミー(社会の敵)」という言葉が使われているあたり、一ひねりあるだろうとは思ってましたがその期待を裏切らないひと味違う描かれ方をしていました。
 アウトローの身内に対しては情が厚く人間くさく自由に生きる姿を爽快感を持たせて描きつつも、そんな事をまかり通らせてしまう治安が未熟な当時のアメリカ社会の危うさなどを描く事で、やはり彼らは淘汰されざるを得ない存在だと気づき切なく観えました。
 一方で治安を守る存在として設立の部分から描いているFBIは、アウトローに対しては彼ら以上に残酷でしかも人間味のないものであるという部分も強調しているように感じ、無法というものの代償をずっしりと描いているように感じました。
 しかし、そうであったとしても、ジョン・デリンジャーは時代の徒花としての魅力は誰にも否定出来ない。そういう控えめだけれどしっかりした主張はある作品だったと思いました。